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子宮内膜異形増殖症だって。

筋腫分娩から始まった闘病の全記録。

運命の再会は病室で。

どの位眠ったのか
点滴を替えに来た看護師サンの気配に目が覚めた。

『起こしちゃいましたね、ごめんなさい!
点滴交換しますねー』
『はーい』
『トイレはどうですか?まだ大丈夫かな?』
『はい、まだ‥』
と言いかけて止めた。
『やっぱり行ってみます!』
『じゃぁ一緒に行ってみましょう』

ベットから立ち上がる。
『ゆっくりねー』

病室のトイレまで数歩だけどゆっくり歩く。
『フラフラしたら言ってね』

トイレに辿り着いて
看護師サンは扉の外で待っていてくれる。

トイレットペーパーを恐る恐る見た。

血が出てる感じはない。
たぶんガーゼが吸ってる血なんだろう。
少しだけ濁った感じの色が付いた。

看護師サンに手伝ってもらってベットに戻る。

結構疲れる。
少し息があがった。

『貧血のせいだから大丈夫。
急に動けなくなったりするからひとりで動かないでね』

何回聞いたかな。
『ひとりで動かないで』
ゆっくりなら大丈夫そうなんだけどな。

ベットに横になって窓の外を見る。
すごくいい天気。
きっと今日も暑いんだろう。
昨日も午前中からとても暑かったもん。

病室はとても快適だ。
屋上には展望室があるらしい。
もう少し動けるようになったら
展望室と院内に入っているドトールに行ってみよう!

目標を持つ事は大切。



夕食が配膳された。
楽しみは食事位しかない。

動かしにくい右手で食べ始めると
まもなく彼が来てくれた。

『お‼いーもの食べてんじゃん‼』
『あれ?早かったね』
『今日早退した‼』
椅子に座って買ってきたコーヒーを飲み始めた。
『どう?変わりなかった?』
『うん。大丈夫みたいだよ』

仕事中すごく眠かった事とか
上司に病院に早く行ってやれと言われた事とか
ダウンタウンの話とか
誕生日のケーキの話とか
普段通りの会話が何だか嬉しい。

食事が終わって彼がコンビニに行くついでにと
配膳を片付けてくれた。

その時、ふとカーテンが開いて
向かいのベットの人が配膳を片付けに行ったようだった。

あれ?
何か似た人を知ってる。
でもまさかねー。

そう思った時看護師サンが向かいの人の名字を呼んだ。
『下剤でましたからねー』
『ありがとうございまーす』

あれれ?
声がますます似てる‼
でも‥まさかねー。

彼が戻ってくると同時に小声で言った。
『ねぇ‼病室の入口の名前見てきて‼向かいの人
もしかしたら知ってる人かも知れない‼』

戻ってきた彼の口から聞いた名前は
間違いなく10年程前に資格を取りに行ってたスクールで
同期だった人と同じだった。

資格試験に合格して打ち上げしたのを最後に
会うことはなかったけど普通に仲は悪くなかった。

『知ってる人なんだ‼すごい偶然だな』
『声、かけてみようかな‼』
『いいんじゃない?』

とわ言ったものの急に声をかけるのもなんだかなぁ。

何かタイミングがあればいいんだけど。

きっと彼女はわたしの名字を看護師サンが呼んだ時
気付いてるはず。

何せめったにいない名字だからすぐに分かるはずなのだ。
わたしだけがのほほんと気付かずにいるパターンのはず。

彼女が歯磨きに行った。
カーテンを開けてもらって戻ってくるのを待とう。

待つとは言え病室の中に洗面台があるから
時間はかからないんだけど。

パタパタとスリッパの音がこちらへ向かってきた。

『さっチンだよね?』
『やっぱり嘛璃チャンだよね?』

盛り上がった。

わたしが重症個室に入った昨日
彼女はすでに重症個室の入口の名前を見て
間違いないだろうと思ってたって言った。

何だかとても安心出来た。
彼女もわたしの状態が落ち着いたら
声をかけようとウズウズしてたと言ってくれた。

戦友が出来た。

彼とさっチンと3人で暫く話ていたら
ママが戻ってきて今度は4人で盛り上がる。

看護師サンが入って来て
『あら、何だか賑やかだねー』と笑った。
『わたしたち、友達だったんです
こうやって会うのは10年ぶり位なんだけど』と彼女。
『ほんとに?すごい偶然だねー』

本当。
しかも同じ病室で。

彼女も昨日、入院したらしい。
わたしは救急だったけど日程を決めて彼女は入院した。

同じ日に入院。

運命だなと彼女が言った。
わたしもそう思った。

お互いこれから先
長く関わって行くような気がしていた。